飛行機に乗ると耳が痛くなる ちょっと詳しい
だれでも飛行機に乗ると客室内の気圧が変わり、耳がつまった感じがします。でも普通は、ごっくんしたりあくびをしたりすると中耳の圧力調整ができてなおります。
しかし、うまく圧力調整ができずに、よく耳が痛くなる人がいます。どちらかの耳だけが痛くなる人もいます。どうしてでしょう。
圧力調整には2つの要素が関係しています。
①ひとつは耳管の状態です。耳管は中耳と鼻の奥をつないでいる管で、ごっくんしたりあくびをしたりする時にすこし開こうとする仕掛けになっています。このときに圧力調整が行われるのです。
でも鼻風邪をひいていたりアレルギー性鼻炎になっていたりすると、耳管の鼻側の入口が腫れたり、粘液がくっついたりするので、耳管が開きにくくなります。
ですから鼻風邪やアレルギー性鼻炎の治療が耳の痛みの予防に必要ですし、鼻の症状がでていなくても、アレルギーの薬が多くの場合有効です。
②もうひとつの要素は鼓膜の強さです。客室内の圧力が変わると鼓膜はゴムのようにへこんだり、ふくらんだりします。そのときに、鼓膜には元の位置に戻る力がたまっているのです。鼓膜が強いと、元に戻ろうとする力も強いので、すぐに耳管を通して中耳の圧力調整ができますし、逆に鼓膜が弱いと圧力調整もおきにくいのです。例えて言うと、スポイドのゴムが弱ければ吸い上げる力が弱くなるようなものです。
さて、では鼓膜が弱いのはどんな場合でしょう。幼児の頃に繰り返し、長い間、鼓膜がへこむような中耳炎にかかっていると、弱い鼓膜になってしまうのです。ですから成人でも小さいころによく中耳炎にかかった耳が痛くなりやすいのです。
では、鼓膜を強くする方法はあるのでしょうか。飛行機に乗る前に鼓膜にテープを貼る方法があり、知り合いの先生によると有効とのことです。私はまだ行なったことはありません。
その他の予防法として、飛行機用の耳栓も市販されています。きちんと使えば、客室内の圧力変化の影響が緩やかになるので、効果のある人もいるでしょう。
また理論上は、鼓膜に穴をあける方法もあります。当然中耳と外界がツーツーですので、常に圧力は同じです。穴が治って閉じるまでは有効なはずです。
[2018/06/25]