インフルエンザはなぜ減らないの? ちょっと詳しい
インフルエンザの予防接種率は2000年ごろの1割程度から徐々に増え、最近では5割程度になっているようです。
抗インフルエンザ薬も2001年のタミフル以降、リレンザ、イナビルなどが発売され、品薄になることもありません。
5~10分で結果が出る迅速検査キットも開発され、すぐに診断もできます。
みなさんのインフルエンザに対する意識も高まり、うつさない、もらわないためにマスクをつける方も増えています。
最近では、幼稚園や学校を休む日数も徹底され、必ず登校許可証をもらってから登校するようになっています。こどもだけでなく、大人も意識がたかまり、職場を休む日数もだいぶ守られるようになってきたとおもいます。
しかし、上記のようなかずかずの対策にもかかわらず、インフルエンザは一向に減らず、この冬(2017~18)のシーズンは過去最高の患者数となっており、当院にも多くのインフルエンザの患者さんがこられます。一体なぜでしょう。
これはあくまで私の個人的な印象ですが、ひとつには迅速検査キットによって、より多くのインフルエンザの方がみつかるようになったことだと思います。
以前は高熱、関節痛などをふくむ重い風邪様の症状から診断していたのですが、検査をする対象を広げて微熱の人や熱のない人を検査してみると結構陽性にでるのです。
また、1~2日位で熱が下がってしまう方も多く、こんなに軽ければ風邪だと決めつけている場合も多いとおもいます。ですから報告されたインフルエンザ患者数の中に高熱がない方が増えているのではないかと考えているのです。
だとすると、熱もなくあまりしんどくもないインフルエンザ感染者(かくれインフル)が相当存在し、本人は軽い風邪とおもっているため、あちこちで移して回っているのかもしれません。逆に言うと重い症状の典型的なインフルエンザ患者は氷山の一角かもしれないのです。
[2018/02/10]