みみ、はな、のどの病気についての解説
診察をしていて気になる言葉 おもしろい
①吐きそうになって“おえっ”となるのは、嗚咽(おえつ)とは言いません。嗚咽(おえつ)とは、むせび泣くことです。
日本語の誤用ですが、若い方の中では相当普及しており、そのうち辞書に採用されて、通用するようになるかもしれません。当院の若い職員の方も誤用の方を正解と思っておられました。
②症状の表現でとても良く使われる言葉に“すごい”という言葉があります。“すごい痛い”などと使われます。
しかしじっくり話を聞いていくと7割方は、本当に痛みが“すごい”わけではありません。
気軽に“すごい”という言葉をくっつけるのが癖になっている場合がほとんどだと思います。これは、しっかり話をきいてもらいたい気持ちのあらわれでしょう。
また、全く症状のない普段に比べると“すごい”場合もありそうです。
ただ、治療をする側は、どの鎮痛剤を選ぶかにもかかわるので、つい“あまりすごくない痛みですね”、などと失礼な確認をしてしまうこともあります。
③私は聴診するときに患者さんに“深呼吸をしてください”とお願いします。大きく吸ったり吐いたりしてもらうことで呼吸音を大きくして、聴診しやすくするのが目的です。
ところが深呼吸とは“しーん”とした静かな呼吸と思っておられる方がおられます。そのような方は、静かにゆーっくりと呼吸をされます。
そんな場合は、わたしが手本を示して本格的な大きな深呼吸をしてみせます。
[2020/05/21]